へんくう農業日記

こだわり農業の記録

受け入れられないジャンボタニシ農法

新聞にジャンボタニシの記事がありました。
『みんなの周りに増える外来種』特集
第7回:スクミリンゴガイ
【2012.8.7 中国新聞記事拡大

この新聞記事は一般論です。つまり、ジャンボタニシは農家の大敵、と。
かたや僕は、ジャンボタニシを味方につける農法をやっています。(詳細はコチラ
この農法は誤解を招いたり反感を買うことが多いです。
ジャンボタニシを拡散させている」とか
「生態系を壊している」とか
「迷惑だ」とか。
拡散については、僕たちは絶対にないようにしています。業者の田植え機などにくっついてジャンボタニシが繁殖したと思われるケースは聞きます。
生態系については、壊しているという話は今のところ聞いたことがありません。田んぼでは草や稲を食べ尽くしますが、これは壊しているとは言いませんよね。田んぼの外に出るとカルガモ・スッポン・コイなどに食べられて繁殖しないそうです。

ジャンボタニシに食べられて稲がまばらになった田んぼ】

黒い丸い物がゴロゴロ転がっていますね?ジャンボタニシです。
でもよく見ると、半分は在来種のタニシです。
共存してますね。在来種は肉食、ジャンボタニシは(主に)草食だからでしょう。
【在来種(左)とジャンボタニシ(右)】
ジャンボタニシ農法では、ジャンボタニシを殺さないので殺虫剤を撒きません。また、ジャンボタニシに草を食べさせるので除草剤も撒きません。
その結果、その田んぼは農薬を一切撒かない生き物環境に優しい田んぼになります。
在来種が多いのもそのせいではないでしょうか。
従来の農法でやっている人は、ジャンボタニシを拾い集めて潰したり、殺虫剤を撒いたり、大変苦労しています。
だからもし隣の田んぼがジャンボタニシ農法だったら「こっちが苦労して駆除してるのにそっちから入ってくるじゃないか!」と思うでしょうね。
でも一帯に広まったジャンボタニシを完全に駆除することは不可能です。
みんなで一斉に拾い集めますか?大変な労力ですよね。
一斉に殺虫剤を散布しますか?それこそ生態系を壊しますよね。

ジャンボタニシと共生すれば楽なのに。
と思うのですが、この農法はあまり受け入れられていません。農家の人がこの農法を知っても、やらないのです。ずっとジャンボタニシと戦ってきた人は、気持ちを切り替える事ができないようです。
この農法が反感を買うのも、外来種うんぬんより、こういった感情によるところが大きい気がします。
一旦敵対した相手とは協力することができないのでしょうか。
どうしたもんでしょう。

▲注意▲
ジャンボタニシのいない田んぼにジャンボタニシを持ち込んではいけません!

ジャンボタニシ外来種です。外来生物法で『要注意外来生物』に指定されており、「未定着の地域に放すことのないよう注意すべき」とされています。