へんくう農業日記

こだわり農業の記録

田んぼアート(2)

 初田んぼにして初田んぼアート。図面を作ってみると、アートの大きさが60メートル以上になる。こりゃあ少々じゃない。全体が見渡せなくてもアートを描けるよう、田んぼに目安となるひもを方眼状に張ることにした。
 田植えはかなり手間だ。まずベースの稲を田んぼ全面に機械で植える。次にアートを描く。田んぼの上の人が図面を見ながら指示を出し、田んぼの中の人が杭を立ててひもを張るのだ。次にひもを張った内側の稲を抜く。最後にひもの内側に古代米を植える。友達も呼んで計10人が参加し、3日間かかって完了した。
 田んぼは稲の成長とともにアートの色が変化していき、見に行くのが楽しみだった。頑張った甲斐があって、夏の終わりには見事にアートが浮かび上がった。田んぼいっぱいに描いたイモリはあまりに大きく、写真に入りきらないほどだった。それだけ感動も大きく、田植えの苦労もふっ飛んだ。
 収穫したお米もひと味違う。特に赤米は、白いお米に混ぜて炊くとご飯全体がピンクに染まり、食べるのも楽しい。
 田んぼアートは、お絵かきで楽しんで、浮かび上がるアートを楽しんで、食べて楽しい。もう僕はすっかりその魅力にハマッてしまった。そして翌年、つまり今年も継続。色んな人に田んぼアートの魅力を知ってほしいと思っている。

山口新聞 『東流西流』 2010.11.25掲載
<連載3 | 一覧 | 連載5>