へんくう農業日記

こだわり農業の記録

田んぼアート(1)

 田布施には田んぼに絵が浮かび上がる「田んぼアート」がある。その田んぼを作っている人に、田んぼ仲間の紹介で会うことになった。
 「百姓・木村」と名乗っているその方は、小中学生と一緒に田んぼアートを制作されていて、さらにアイガモ農法など農薬を使わない取り組みや、田んぼの請負もされているスーパー百姓だった。面白いなと思って聞いていると、「ええ田んぼがあるけー君らも田んぼアートをやってみんかね」と言われた。いきなりでビビッた。でも面白そうだ。結局、田んぼも苗もノウハウも全て木村さんが提供してくれるというので、やることにした。前回の記事で書いた光の田んぼと同時進行の話である。
 田んぼアートは、田んぼをキャンパスに見立て、古代米と呼ばれるいろんな色の稲を植えて巨大な絵を作り出す。
 93年に青森県の田舎館村が始めたのが発祥で、今は全国100ケ所以上で行われているそうだ。
 僕たちが使う稲は、穂が黒い緑米と、赤い赤米と、黄色い普通の稲だ。黒、赤、黄色を使って何を描くか。それが一番重要で、楽しい作業でもある。みんなで色々考えて、決まったデザインはイモリ。黒い体に赤い腹のイモリは色がピッタリだ。それに、田んぼにすむ生き物だし、農薬を使わない農業のイメージにも合うではないか。

山口新聞 『東流西流』 2010.11.18掲載
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