へんくう農業日記

こだわり農業の記録

初たんぼ

 田んぼをやろうと思ったのは、やっぱり主食だし、生きるために一番必要な力だと思ったからだ。田んぼは本格的な農家でないとできないイメージがあったので、できるようになれたらいいなあという憧れも抱いていた。そんな時、知り合いから一緒に田んぼをやらないかと誘われたので、すぐ始めることにした。
 田んぼはもう光市に借りてあって、40メートル四方ぐらいの広さだった。結構広い。一緒にやるメンバーは20〜60代の男女5人。地域は田布施から防府までばらばらだ。全員素人だが、僕以外の4人は前の年に1年間田んぼの講習を受けていて、そこで知り合った人達だった。
 その講習というのは、平生町の大下充億さんが開いているもの。百姓のかたわらお菓子屋や幼児園を開いている有名人だ。
 その講習は誰でも自由に参加できるので、当然僕も通い始めた。種まきからお米ができるまでの全工程を、実際に作業しながら学んだ。基本的には手作業だが、機械の力も借りる。農薬や肥料は使わない。とってもシンプルなやり方で、無理はしない。「これなら自分にもできるじゃん」と思える講習だった。そして実際にできた。やってみたら結構簡単なのだ。
 サラリーマンだった1年前には想像もつかない事だった。そして、心から充実感を感じるようになっていた。

山口新聞 『東流西流』 2010.11.11掲載
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